
東日本大震災から5年となった3月11日。事故当時18歳以下だった福島県の子どもたちへの検査の結果、167人もの子どもに甲状腺がんが発生していたことが発表されている(2月15日福島県有識者会議の発表)。通常この年齢の甲状腺がんの発生率は100万人に1人か2人といわれることを考えれば、この数字がいかに異常かわかるだろう。しかし事故後5年という節目ですら、この異常事態をほとんどのマスコミは取り上げることなく無視したままだ。
そんななか、この問題を正面から取り上げた唯一の番組が『報道ステーション』(テレビ朝日)だった。
そのなかで驚くべき事実が報じられている。それが甲状腺がんの“発症年齢”と“被曝線量”に関するものだ。

2月15日に行われた福島県の有識者会議「県民健康調査」検討委員会で座長をつとめる星北斗・福島県医師会副会長は、甲状腺がんと事故の因果関係をこう否定した。
「チェルノブイリとの比較の線量の話、あるいは被曝当時の年齢などから考えまして、これらのがんにつきましては、放射線の影響とは考えにくいとの見解をこのまま維持する形に、今日の議論としては委員会としてはそうなったと理解しています」
“チェルノブイリと発症年齢が違う”。これをひとつの根拠として星座長は因果関係を否定したのだ。
『報ステ』でもこうした検討委員の見解を伝えた上で“チェルノブイリ”現地に飛び取材を行っているのだが、その結果は驚くべきものだった。
確かに、チェルノブイリでは事故当時5歳以下の子どもに甲状腺がんが多発し、福島では現在のところ5歳以下の子どものがんは見つかっていない。しかし実は、チェルノブイリでは事故当時0歳から5歳以下の子どもたちのがん発症は、事故から7、8年以上経ってからのことなのだ。

『報ステ』では、チェルノブイリから80キロは離れ比較的汚染も少なかったため避難区域とならなかったチェルニーヒウという都市を訪れていたが、そこでも50人に甲状腺がんが見つかっている。その一人、エカテリーナという現在30歳の女性は、生後11カ月で被曝し、14歳の時に甲状腺がんが見つかったのだという。
事故当時5歳以下だった子どもががんを発症したのは思春期以降のこと、事故後早くて7〜8年経ってからの発症なのだ。その理由については不明だというが、もし日本でも同じことが起こるとしたら、甲状腺がん発症のピークはまだこれからということになる。
さらに2500人もの子どものがんが発生したベラルーシの国立甲状腺がんセンターのユーリー・デミチク所長は、被曝線量が低くてもがんが発生する可能性を指摘している。
「被曝線量が低くても甲状腺がんが発生する可能性はある。これ以下なら大丈夫という値はない」
チェルノブイリでは、事故当時、比較的線量が低い場所でも甲状腺がんが発生し、また低年齢の子どもはすぐには発症せずに早くても7、8年経って発症するということなのだ。

◆相変わらず他人ごとで冷酷無慈悲な安倍内閣の閣僚と自民党の議員たち
3月11日。
昨夜は、二つの注目すべきテレビ番組が放送された。
ひとつは、古館伊知郎キャスターの報道ステーションの特番「福島県・甲状腺がん特集」。
もうひとつは、田原総一郎の「朝生 激論 どーする!!原発再稼動」だ。
報道ステーションの「甲状腺がん特集」は、日本のジャーナリズムの面目躍如といった優れた内容だった。
"古舘伊知郎キャスター生命を賭けて!【福島の甲状腺がんはさらに増える】!を報ステが暴露!" へのコメントを書く