
妊娠中にアセトアミノフェンを使用した場合の7歳と11歳時点でのADHD(注意欠陥/多動性障害)症状判定結果との関連
[研究の目的] 妊娠中のアセトアミノフェン使用と就学年齢の子どもの ADHD 症状との間に最近発見された関連性を再現すること。
[研究の方法] オークランド(ニュージーランド)で、妊娠中期のヨーロッパ系の 871人の乳児を対象に調査した。
その参加者たちが妊娠中に薬物使用(アセトアミノフェン、アスピリン、制酸薬、抗生物質)をした場合の、その子どもたちの行動障害および ADHD の症状に関して、その子どもが 7歳にった時の親からの報告と 11歳になった時の親と子ども両方からの報告で測定した。分析には、出生時体重、社会的経済的状況、および母親が知覚する出産前の複数の共変量が含まれている。
[結果] アセトアミノフェンは、研究に参加した妊娠中の母親の 49.8%が使用していた。妊娠中にアセトアミノフェンを使用した場合、その子どもの成長における困難の度合いに有意に高いスコアが見いだされたが、他の薬(アスピリン、制酸薬、抗生物質)では有意な差はなかった。また、妊娠中にアセトアミノフェンを使用した母親の子どもは、7歳と11歳の時点で ADHD のリスクが高かった。

これは、妊娠中のお母さんたちのその子どもたちを「 11歳まで追跡した」というもので、過去になかった長期的な研究です。
調査の対象としての薬は、
・アセトアミノフェン
・アスピリン
・制酸薬(胃の薬)
・抗生物質
とされて(おそらくは、妊娠中に使用する率が高い薬ということなのかもしれません)、その中で、生まれた子どもたちが 7歳と 11歳の時点で ADHD と診断された割合が、「妊娠中にアセトアミノフェンを使用した場合」に有意に高かったというものです。
アスピリンが何でもなくて、安全と言われているアセトアミノフェンにだけ増加が見られたというところが興味深くはあります。
最近、この問題に関して、さまざまな調査や研究をまとめた記事を見たのですけれど、妊婦さんのアセトアミノフェンの服用が、おなかの胎児の「脳」に影響を与える一種の神経毒のような形で作用することが、マウスの実験でわかったようで、アメリカ・メリーランド大学薬理学科の研究では、「アセトアミノフェンによる胎児の脳損傷のメカニズム」が解明されたということも記されていました。「脳損傷」という表現が衝撃的ではあります。
とはいえ、これに関してのすべての論文を読んだところで、あまり意味はないことで、つまりは、妊娠されている方は、
「アセトアミノフェンの配合されているものは飲まない」
ということでいいのではないでしょうか。「極力避ける」というような消極的なことではなく「飲まない」と。

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