
ドナルド・トランプの周辺からネオコン色が薄くなりつつある。これまで上級顧問としてネオコンのジェームズ・ウールジー元CIA長官が参加していたのだが、トランプのチームから追い出されたのだ。
ウールジーがCIA長官だったのはビル・クリントン時代の1993年2月から95年1月までだが、退任後にはネオコン系シンクタンクPNACのメンバーになる。PNACは1997年にロバート・ケーガンとウィリアム・クリストルによって創設されたが、ケーガンが結婚したビクトリア・ヌランドはウクライナのクーデターを指揮したひとりで、ヒラリー・クリントンと親しいことで知られている。
このヒラリーと親しいマデリーン・オルブライトが1997年1月から国務長官を務めているが、それと同時に政権は好戦的になり、1999年3月にNATOはユーゴスラビアを先制攻撃している。同年5月には中国大使館が破壊されたが、これは意図的な攻撃だった可能性がきわめて高い。
1998年1月にPNACは中東に危機が迫っているとしたうえで、イラクが大量破壊兵器を実際に使用するか脅迫の道具に使う可能性を排除するべきだと主張、サダム・フセインの排除を求める手紙をクリントン大統領に出している。その手紙にウールジーも署名していた。また、ウールジーはウクライナのクーデターやシリアへの侵略で積極的に動いて来たネオコンのジョン・マケイン上院議員とも近い関係にある。
こうした背景を持つ人物を上級顧問として抱えていたことからトランプもネオコンの強い影響下にあると見る人もいたが、閣僚人事を見ても、次期政権はネオコンと一線を画そうとしているように見える。


この記事へのコメント