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株価7000円台まで下落も! リスクてんこ盛りのアベノミクス劇場〈週刊朝日〉

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 日銀の「黒田バズーカ3」は効果が出るのか……なんて悠長に眺める間もなく、日経平均株価は乱高下。「マイナス金利」で狙った的は「円安」のはずが、ジリジリと円高に傾く。どうやら弾は前に飛ばず、命中したのは「アベノミクス劇場」。劇場外も何やら騒がしい。キャストが増えて、7千円台説も!?

 投資銀行モルガン・スタンレーの元役員で経済評論家のぐっちーさんは「経済は壊滅的な打撃を受け、株価も落ちる。高い貯蓄率や経常黒字、国の資産も今ならまだ余裕があり、増税や財政再建を先行させる理由はない。米国もIT系の新産業が稼ぎ出し、財政赤字をほぼ解消させた。原油安は神風。早く新たな産業、第2、第3のエンジンに点火して抜け出さないと。今のうちにやらないと、本当に再建できなくなる」と話す。

 投資家だって待ちはしない。「相場の質が変わった」とするのは『中原圭介の経済はこう動く 2016年版』(東洋経済新報社)の著者の中原圭介氏だ。

 中原氏によると、転機は昨夏の中国・上海株の急落。ここで産油国のオイルマネーが日本株を売り始めたという。中原氏は言う。

「腰の据わった長期投資家のオイルマネーが抜け、ヘッジファンドなどの短期筋が増えた。だから値動きが荒い展開にならざるを得ない」

 悲しいかな、約130兆円の年金積立金を運用する巨大クジラ、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の下支えも限界が近づいている。衆院予算委員会があった15日、一気に1千円超上げて3営業日ぶりに1万6千円台を回復。「15日も何を言われるかわからないので意地でも上げたんでしょう。1980年代から分析すると、これだけ長期にわたって株価が高値を維持できたのは、GPIFや日銀が下支えした人工的な相場だったからですが、ここまで落ちた。弾切れが近い」(ぐっちーさん)

 第1部の幕が降りた後の株価はどうなるのか。『なぜ今、私たちは未来をこれほど不安に感じるのか?』(ダイヤモンド社)の著者で元ドイツ証券の松村嘉浩氏は「リーマン後に、集中治療室で金融緩和をやり、今頃晴れて退院するはずが、病院から出られず、戻っても薬がない。立ち往生しているのが現状。株価下落は始まったばかり、実は今は一回表です」。

 各地で物騒なニュースも続いている。先駆けてマイナス金利をスタートさせたユーロ圏。金融機関が収益を圧迫され、不良債権の削減が進まない。「ドイツ銀行の問題が報道されているが、あれは欧州の金融機関全体の話。大きなリスクになる」(中原氏)という。

 さらに来月初めには、アベノミクス劇場に濃い面々がキャストとして加わるかもしれない。極端な発言で話題の米大統領選候補、トランプ氏だ。

 9日には共和党トランプ氏と民主党サンダース上院議員がニューハンプシャー州予備選で圧勝。米経済誌は「市場がリスクとして認識していない最大のリスクは大統領選」と紹介するほどだ。「もし12州と米領サモアで予備選がある3月1日のスーパーチューズデーでトランプ氏やサンダース氏が勝ったり、接戦を演じたりする展開になれば、世界の株価が下がる。西沙諸島に中国がミサイル配備したことも底割れリスクになる」(元スイス銀行員の豊島逸夫氏)

 松村氏も言う。

「この下落は九回まで行けば、1万円を下回り、8千円、7千円台もおかしくない。山場は今年と来年。問題は米大統領選です。リーマン・ショックは大統領選における政争がトリガーになったように、大衆迎合的な政争が行われてしまう可能性があります。そうなれば一気に下がる可能性もある」

 世界情勢リスクはてんこ盛り。できることをやって危機をしのげるかどうかという話ではないか。自爆している場合じゃない。中原氏はこう警告する。

「昨年末の米FRBの利上げにしろ、黒田総裁のマイナス金利にしろ、『何でもやる』と言ったから、メンツを保つためにやったもの。マイナス金利は毒薬です。金融緩和で矛盾が出ようが詭弁で押し通すリフレ派は宗教。安倍さんは即刻、今のブレーンを切らないと日本はおかしなことになる」

 濃い面々の国際演劇、いや悲劇にならぬように。

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