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直下型地震の前触れ?伊豆・相模地域は要注意

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「大規模な地震が発生する前に起きる『地震の飛び跳ね』現象の可能性がある」

 2月5日午前7時41分頃、神奈川県東部を震源とするマグニチュード4.6の地震(震源の深さは約30キロメートル)が発生し、東京都町田市や神奈川県川崎市で震度4の揺れを観測した。

 直下型地震特有の「ドスン揺れ」に肝を冷やした筆者が、角田史雄埼玉大学名誉教授に慌てて電話した際に答えていただいたのが上記コメントである。

 角田氏が言う「地震の飛び跳ね」とは、大きな地震が起きる前に小さな地震があちこちで飛び跳ねるようにして発生することを指す。

 角田氏によると、首都圏でマグニチュード6以上の大きな地震が発生する前に相模地域や多摩川流域などの地震多発地帯でマグニチュード3~5クラスの地震が次々と起きるという。相模地域でマグマ(熱エネルギー)が上がってきて地下が熱くなって膨張すると、相模地域の地面は上がり、東京側で下がる。こうした地面の「傾動」が続くと多摩川などの地下がずれて大きな地震が発生するからだ。

 今回の「地震の飛び跳ね」現象の後に、どこで大きな地震が起きるのだろうか。
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■ 噴火と地震の発生場所はほぼ決まっている

 角田氏は従来のプレートテクトニクス論に代わり、「地震と火山はペアで起こる」とする「熱移送説」を唱えている。2014年10月の御嶽山噴火後には、「熱移送説」に基づいて「今後数カ月以内に『信濃川地震帯』でマグニチュード6~7クラスの地震が発生する」と予測(2014年10月23日の記事「『信濃川地震帯』が危ない」を参照)。実際に同11月22日に長野県北部の白馬村でマグニチュード6.7の地震が発生した。

 熱移送説とはどのようなものなのか、改めておさらいしてみよう。

 熱移送説の中で主役を務めるのは「熱エネルギー」の伝達である。熱エネルギーは、地球の地核(特に外核)からスーパープルーム(高温の熱の通り道)を通って地球表層に運ばれ、その先々で火山・地震活動を起こすという。

 火山の場合、熱エネルギーが伝わると熱のたまり場が高温化し、そこにある岩石が溶けてマグマと火山ガスが生まれると、そのガス圧で噴火が起きる。地震の場合は、硬いがもろい岩層の地下岩盤が熱エネルギーによる膨張で割れることにより発生する。

 地震や火山の噴火を引き起こす大本の熱エネルギーが地球表層に出てくる地点が南太平洋(ニュージーランドからソロモン諸島にかけての海域)と東アフリカの2カ所であることを角田氏は確認している。日本の地震や火山噴火に関係あるのは南太平洋の方だ。

 熱は地球表面の下の割れ目の面に沿って移送される。南太平洋から出てきた熱エネルギーは西側に移動し、インドネシアに到達すると3つのルートに分かれて北上する。

 3つのルートとは、(1)スマトラ島から中国につながるルート(雲南省では地震が相次いでおり、2008年5月に発生した四川大地震もこれに該当する)、(2)マリアナ諸島から日本につながるルート(3)フィリピンから日本につながるルート、を指す。今回のケースに関連するのは(2)である。

 角田氏はさらに「噴火と地震の発生場所は、ほぼ決まっている」と指摘する。地球の内部構造は環太平洋火山・地震帯が約10億年も不変であることが示すとおり、高温化する場所や岩盤が割れやすい箇所はほとんど変わらない。そのため、熱エネルギーが移送されることによって生じる火山の噴火地点や地震が起こる場所はほぼ不動なのだという。
■ 大規模な熱エネルギーが北上中? 

 角田氏によると「熱エネルギーは1年に約100キロメートルの速さで移動する」ので、インドネシアやフィリピンで地震や火山の噴火が起きた場合、その何年後に日本で地震や火山の噴火が起きるかがある程度予測できるとしている。

 こうした一連の火山・地震過程を角田氏は「VE過程」と名付け、熱エネルギー移送のルートや周期、日本各地の地域特性から「地震や火山の癖」を読み解こうとしている。

 あとは熱エネルギーが移送される周期をきちんと算定すれば、噴火や地震はいつ、どの辺で発生しそうかという見当はつけられるというわけだ。

 角田氏は「マリアナから伊豆諸島へのVE過程の活動期の間隔は約40年である」と主張している。思い起こせば約40年前の1978年1月14日に「伊豆大島近海地震」(マグニチュード7.0、震源の深さは0キロメートル、死者・行方不明者26名)が発生している。

 さらにその約40年前の1930年11月26日には、「北伊豆地震」(マグニチュードは7.3、震源の深さは不明、死者・行方不明者272名)が発生していた(地元では「伊豆大震災」とも呼ばれる)。この地震は直下型地震であったため、震源に近い静岡県三島市で震度6を観測した。伊豆町では震度7だった可能性が高い。

 角田氏は(2)のルートの線上にある小笠原諸島の西之島(東京の南約1000キロメートルに位置する)の海底火山が2013年11月に噴火したことに注目していた。西之島の噴火活動は2015年末まで続き、西之島の面積は12倍に拡大したことから、大規模な熱エネルギーが約40年ぶりに移送されていることが分かる。

 2014年10月に、八丈島(東京の南約287キロメートルに位置する)東方沖で、マグニチュード5.9の地震が発生した。この熱エネルギーが100キロメートル/年の速さでこのまま北上すれば、2017年から2018年にかけて伊豆・相模地域に到達することになる。そのため、角田氏は「2017年から2018年にかけて、伊豆・相模地域でかなり大規模な直下型地震が発生する恐れがある」と警告を発している。

■ 縦揺れの対策が遅れている日本の地震防災

 角田氏が恐れているのは、阪神・淡路大震災の二の舞である。日本の地震防災は横揺れには強いものの、縦揺れの対策が遅れているからだ。

阪神高速道路は、砂などが埋まった化石谷の上に建てられたために直下型地震特有の「ドスン揺れ」でもろくも倒壊してしまった。山陽新幹線も高架橋が桁ごと落ちたり、トンネルの内壁が剥落するなどの深刻の被害が出た。

 首都圏南部の地盤・都市環境は阪神・淡路地域と似ており、地震の震源が浅いという共通点がある。伊豆・相模地域を通る東名高速道路や東海道新幹線の備えは大丈夫だろうか。

 2011年3月の東日本大震災後の11月に東京大学地震研究所は、北伊豆地震を引き起こした「北伊豆断層帯」の地震発生率が、大震災前に比べて70倍上昇したとの調査結果を発表した。大震災で活断層への力のかかり具合が増加したことなどがその理由だが、「30年以内の地震発生確率はほぼ0%」であるとして、大地震に直結するわけではないとお茶を濁している。

 伊豆地方の温泉地域は他の地域より高震度域になっているため、対策は焦眉の急である。だが、日本有数の大温泉地帯で地震対策を講じようとすれば、たちまち風評被害の問題が発生するというジレンマがある。悩ましい問題だが、全国の温泉地域との間で広域の協力支援体制が構築できれば、「伊豆は安心・安全な温泉地」ということを宣伝できるという逆転の発想も必要ではないだろうか。

 2020年の東京オリンピックが決まってから悲しい出来事が続いているが、そのうえ東海道新幹線と東名高速道路という「国の大動脈」が大打撃を受けることは絶対に避けなければならない。

 地震大国日本で生まれた最先端の地震理論に耳を傾け、国を挙げて一刻も早く直下型地震に関する抜本的対策を講ずるべきであろう。

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