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糞便からつくる薬が存在する?ダイエットや腸炎治療に効果絶大!

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腸内環境は自律神経にも関係

 最近では、腸内環境が健康を左右する―ということが、常識といっていいのかもしれない。「腸内環境」や「腸内フローラ」の文字もよく見る。腸内環境が日々の体調だけでなく、受験や恋愛、就職など、人生の様々な重要局面に影響を与えている。私も毎日、ヨーグルトの種類を変えて欠かさずに食べている。

 一方、腸には約1億個もの神経細胞が集まっていて、もともと第二の脳とも言われている。更に「リラックスホルモン」とも呼ばれるセロトニンは9割以上が腸管で作られている。

 セロトニンはノルアドレナリンやドーパミンと共に「三大神経物質」とされ、不安やイライラを抑える働きがある。不足するとうつ病や不眠症を引き起こすとも言われ、腸内環境は善玉菌20%、悪玉菌10%、日和見菌70%という割合が良好だが、この基準値より悪玉菌が増えたりすると、セロトニンの不足を引き起こしてしまうという。


 このように腸内環境は重要であるが、個人差があり健康を大きく作用することから、大便から薬がつくられる「糞便移植」という治療法が存在する。健康な人の便を患者の腸内に移すことで治療する移植術で「便微生物移植」ともいう。

 にわかには信じられないことだが、この治療の歴史は古く1700年前に「黄色いスープ」として腸炎に使われた記録があり、近代に至っては、1950年代から大腸炎などに散発的に使われている。

 例えば、2013年10月、カナダのカルガリー大学の医師がヒトの大便から作ったカプセル剤を用いて、Clostridium difficile(C. difficile)という細菌による感染症の患者27人全員を治療することに成功している。


 大便をフリーズドライした肥満治療薬

 それだけではない。ダイエットにも”フリーズドライ・糞便”が使用される計画がある。これが減量に非常に効果的な可能性があるとのことで、実用化に向けて実際に治験が行われることになった。

 今年(2016年)から開始されるランダム化比較治験では、肥満治療に対する糞便の有効性が試験される。また人体の微生物叢の詳細や、その健康と代謝に果たしている役割についても調査されるという。

 アメリカ、マサチューセッツ総合病院のイレーヌ・ユー助教による本治験は、痩せた健康な提供者から大便サンプルを採取し、これをフリーズドライした上で1、2gほどカプセルに入れ、20名の肥満患者に投与する。

 大便入りのカプセルは、そこに含まれる細菌が腸内細菌叢(腸内フローラ)を変化させるため、腸内感染の治療に効果があることは証明されている。このことから、肥満や代謝異常といった他の健康問題の治療にも応用できないかと検討されるようになった。

 いくつかの動物実験や人間のケーススタディからは、効果がある可能性が示唆されており、今回の治験でその最終的な確認が行われることになる。

 治験では、患者は6週間に渡って毎週糞便を投与され、その後3ヶ月、6ヶ月、12ヶ月のタイミングで体重と健康状態の変化が調査される。またこの間、患者はいつも通りの食生活と健康に関する習慣を続けるように指示される。

 将来的に腸内細菌移植治療が食事管理と組み合わされて、肥満や代謝異常の治療に採用されることをユー助教は期待しているが、現時点ではまだ予断は禁物であるとのことだ。細菌叢について研究が始まったのは最近のことである。今回の治験が体重の変化との関係を証明する初めての治験となるかもしれない。

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